ライ・ライ・ライ! 

「日本の医療には大変興味があります。手術などの技術的なことも世界トップの水準ですが、きめ細かな安全管理・衛生管理や基礎医学研究の分野でも素晴らしい発展を遂げています。2月に初めて日本に行くのが今はとても楽しみです。中旬には@@大学病院で手術を見学させていただく予定になっています。」

この完璧な日本語をしゃべってくれたのは、まだ日本に一度も行ったことはないという北京大学医学部の学生だ。とにかく国外に出て世界を見たいという。日本だけじゃなく欧州やアメリカにも留学したいと意気込み、次から次へと私に質問をしてくる。日本の医学教育の話。私が留学したドイツの話。アメリカでの学会の話。

夜間は氷点下8度まで下がる1月の北京。招待してくれたのは中日友好病院の外科教授、ヤオ・リー先生だ。私と、国立がんセンター東病院の木下先生、日大駿河台の松田先生の3人が引き受けた仕事は腹腔鏡胃がん手術の教育だ。初日午前に講演会、午後はライブ手術。そして2日目は6時間に及ぶハンズオントレーニングコースだ。息をする暇もないくらいの過密スケジュールだったが、中国の外科医や医学生たちの気迫を肌で感じた時間でもあった。忘れかけていたハングリー精神がよみがえってきた気がする。23年前渡欧したときの気持ち。ヤオ先生から託された仕事をすべて完遂した充実感以上に、胸に熱いものをもらって帰国の途に就いた。

新聞やニュースなどで、日中間の対立感情の悪化などが報じられているが、そんなものはみじんも感じられない時間だった。ひょっとしたら日本人の若者より美しい日本語をしゃべるかもしれない大学生。目を爛々と輝かせ世界に飛び立とうとしている彼らは、その爆発的なエネルギーで次の世代の新しい中国を創りだしてくれるに違いない。

「ライ・ライ・ライ」は彼らに教えてもらった中国語。Come on! という掛け声だ。

                                院長 金平永二 記

    北京・中日友好病院でのライブ手術。サングラスじゃなくて3D映像用の眼鏡。

        写真:北京での講演。隣の通訳は北京留学中の棚橋先生。

          写真:元気いっぱい北京大学の学生さんたちと。

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